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まつもと市民芸術館主ホール 観客席 椅子吹出口部材

【お客様名】施主:長野県松本市/設計:伊東豊雄建築設計事務所/設備設計:環境エンジニアリング

ミッションは「空気を読むこと」。空調と音響を両立する理想の部材づくり

長野県松本市にある「まつもと市民芸術館」は、既存の松本市民会館を大規模リニューアルしたもので、本格的な劇場設備を持った建築物です。本製品はそのリニューアルに伴う、主ホールの空調計画のために考案された空調設備の部材です。
このリニューアルの空調計画は、通常のホール全体を空調する考え方ではなく、客席部分を効率よく空調する居住域空調の視点で考えられており、設計者のアイデアは、「椅子の下に空調の吹出口を設け、椅子の背もたれのカーブ形状に空気を伝わせて人間を包みこむ」というものでした。

空気音を極小に。ミリ単位の加工・調整。

設計上の課題は二つ。
ひとつは、音響に非常にこだわった空間で、吹出口を1300個設置するため、1個当たりの空気の音を聞こえないくらいにしなければ全体として静かな空間がつくれないこと。
もうひとつは、座席の下に設置するため、観客が足を乗せても耐えられること。特に、ハイヒールのようにピンポイントで負荷がかかる場合でも耐えられる強度が必要でした。

【設計・開発のポイント】
本体に内蔵したチャンバーや整流板は、ほんの少しの角度の違いで空気の流れに大きく影響し、音響的に許容できない音が発生。実験を繰り返しながらミリ単位の切削、角度調整を行い、音の原因を突き止めていきました。また、徹底的な流動解析と試験所での音響・気流試験を重ね、風の流れに最適な流線型の形状へとブラッシュアップ。強度面では、落球試験や勘合試験を重ね性能を実測し、満足のいく強度を保証。さらに施工面を考慮し、製品はベースとカバーの2部構成とし、先にベースを床面へネジ留めしてからカバーを勘合するという方法を提案しました。

各ジャンルのプロが協同。心地よい空調空間が完成。

空調のプロ、音響のプロ、施工のプロ、成形のプロが力を合わせ、1年を超えるプロジェクトが結実。理想的な空調空間をつくりあげることができました。
本製品の反響も良く、その後再び株式会社伊東豊雄建築設計事務所様からご依頼いただき、愛知県武豊町民会館の足元空調ダクトプロジェクトに参画。まつもと市民芸術館とはまた考え方を変えたデザインにより、ブロー成形の設計・製造を行いました。

納品までの流れ

実績一覧

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