軽量化と高剛性を両立。
進化した複合成形技術
ハイブリッド成形とは、射出成形と連続繊維シートを組み合わせ一体成形できる成形方法です。八木熊は、プラスチック製品の弱点とされてきた強度面を連続繊維シートとの掛け合わせで克服しました。比較的安価に同じ形状の物を大量生産できるというプラスチックの特長を活かしつつ、高剛性を付与したり、環境に配慮した材料を使用することも可能な技術です。
ハイブリッド成形確立への道のり
当社はかねて、炭カル・タルク・グラスファイバーなど再生樹脂の配合開発を進めてきました。その過程で、ミネラル・繊維などの配合はベース樹脂の性能を著しく向上させることが可能となりましたが、ペレタイズ時の繊維破損や元来の繊維長の制限などから改質には限界がありました。
これに対し、金属代替の複合材の成形方法として確立しつつあったのがハイブリッド成形です。なかでも、連続繊維を樹脂で含浸した「プリプレグ」を用いるハイブリット成形は欧州で始まり、実用化が進んでいますが、技術運用の難しさから日本国内では導入が遅れている技術です。
スーパーエンジニアリングプラスチックの代表格としてPEEK樹脂はよく知られた存在です。これは耐薬品性・耐熱性などの面でバランスが取れた樹脂である一方、剛性面では金属代替とまではいかないのが短所。ハイブリッド成形で剛性を改善しようにも、加工温度が高温(400℃以上)で技術向上には困難が伴いました。
高剛性、高意匠性備える
技術の確立へ
こうした課題に取り組むべく、当社は近畿経済産業局の指導の下で「戦略的基盤技術高度化支援事業」に着手し、PEEK樹脂でのハイブリッド成形技術を確立。PEEK樹脂でのハイブリッド成形で量産可能な設備を整備しました。
特徴
射出成形と連続繊維シートを組み合わせるハイブリッド成形は次の特徴を持ちます。
- 軽量かつ高強度・高剛性(金属代替)
- 設計自由度が高い
- 複雑形状が可能
- 連続繊維をインサートすることによる、軽量+高強度・高剛性(金属の代替になる)を実現
- 八木熊のヒートアンドクール成形技術を用いれば無塗装での高外観を実現
射出成形と連続繊維シートを組み合わせるハイブリッド成形の特徴は、連続繊維をインサートすることによる軽量、高強度・高剛性を付与でき、かつ射出成形のメリットである高い設計自由度を併せ持つことができることです。複雑形状にも対応でき、当社のヒートアンドクール成形技術を用いれば無塗装での高外観化も実現できます。
PEEK樹脂などのスーパーエンジニアリングプラスチックから、PPなどの汎用プラスチックに至るまで対応可能であることも長所。プリプレグも連続繊維のクロスからチョップドまでバリエーションを広げるとともに、ガラス繊維、天然繊維にも対応しています。
活用業界
このような業界から注目されています。
- 軽量化が進む自動車用部品
- 軽量と強度に加え美内装、きれいな塗装仕上げを必要とする部品
- ドローンをはじめとするさまざまな航空用部品
- 繊維素材の外観を活かした高意匠性の部品への応用
事例
H&C製品サンプル
ハイブリッド成形のフロー
ハイブリッド成形
ハイブリッド成形